入れ歯

入れ歯はどんな時に必要?

入れ歯とは義歯とも呼ばれているもので、歯が部分的になくなった場合、全部なくなった場合など、どのようなケースにも対応出来る治療法です。取り外し式であることが一番の特徴で、最も手っ取り早く見た目や噛む機能を取り戻せる方法でもあります。歯を失った場合に行われる他の治療法と比べて何かとデメリットを取り上げられることが多い入れ歯ですが、どんなケースにも対応できるため、実は最もポピュラーな治療法です。最近は見た目、装着感、噛み心地などを改良するために様々な工夫を凝らして作られた快適な入れ歯がどんどん開発されてきており、入れ歯の人気はさらに高まってきています。

歯がなくなった時に放置するとどんな危険が?

歯がなくなったときにその状態を放置するとどんな危険が起こってくるでしょうか?

噛み合わせが崩壊する

歯というのは全て揃っていてこそバランスが保たれ、噛み合わせも安定します。しかし、どこかが1本でも抜けてしまうと、バランスが崩れ、歯が移動し始め、噛み合わせがだんだんと崩れてしまいます。

歯が次々に悪くなる

噛み合わせが崩れると歯が均等な力で当たらなくなり、力がかかる歯の負担が過剰になってしまいます。さらに歯に隙間が生まれ、ものが詰まったり、汚れが停滞しやすくなります。これらが原因で歯周病やむし歯にかかりやすくなり、結果的に歯が次々に悪くなってしまいます。

見た目が悪くなってしまう

前歯や手前の臼歯を失うと口を開けるたびに見えてしまいます。また、奥歯を失った場合でも噛み合わせの力が手前の歯に過剰にかかり、もともと強い力に耐えられない前歯が、噛むたびに前に出てきてしまいます。

体の調子があちこち悪くなる

噛み合わせのバランスが悪くなるため、顎の筋肉の不調和をきたして顎関節症を引き起こし、口があまり開かなくなったり、顎に慢性的な痛みが出る原因となります。また、顎の筋肉の不調和は体の他の部位の筋肉バランスにも影響するので、体のあちこちに痛みを出すことがあります。

治療が大変になる

歯が抜けた後、長期で放置していると、歯並びが崩れ、その後歯を入れようとしてもスペース不足で入れられなくなることがあります。そのような場合はずれてしまった健康な歯を削ってスペースを作り、歯を入れなければならなくなります。

入れ歯のメリット、デメリットは?

一般的に言われている入れ歯のメリット、デメリットは次のようなものです。

メリット
  • 保険だと安く入れることができる
  • 周囲の歯をほとんど削らずに入れることができる
  • 歯を1本失った場合から全部失った場合まで、どんなケースでも入れられる
  • 外せるので清掃がしやすい
  • 少ない診療回数で済み、短期間で入れることができる
  • 前歯の骨がやせているケースなどでは、入れ歯に厚みを持たせて唇にハリを出すことができる(若々しさを取り戻せる)
  • 修理ができる
デメリット
  • 慣れないと噛むときに違和感を覚えたり、しゃべりにくさを感じたりする
  • 食事中に外れることがある
  • 入れ歯と歯茎の間に食べ物が挟まることがある
  • 場合によっては金具などが見えて、見た目が悪くなることがある
  • 大きい入れ歯では、食べ物の温度や味などがわかりにくい場合がある
  • 噛み心地が天然歯に比べて劣る

入れ歯、インプラント、ブリッジそれぞれの特徴を教えて

歯が抜けた時の代表的な3つの治療法である入れ歯、インプラント、ブリッジについて、それぞれの特徴を簡単にあげると次のようになります。

入れ歯
  • 取外せるので清掃しやすい
  • 慣れないと違和感を持ったり、吐き気を催すことがある
  • 噛み心地が弱い
  • 保険を使うことができる
  • 部分入れ歯だと金具が見えてしまう場合がある
  • 外科処置などを必要とせず、どんな場合でも入れることができる
  • 修理が可能
  • 前歯の骨がやせているケースでは唇のハリを回復し若々しく見せることができる
  • 金具のかかる歯を弱らせてしまうことがある
インプラント
  • 自分の歯のような見た目、噛み心地が得られる
  • 保険が効かないため高額である
  • 外科手術が必要であるため、健康状態によってはできないこともある
  • 骨が少ないと行えない場合がある
  • 口の清掃が悪いと感染を起こして抜け落ちてしまうことがある
  • 他の歯にほとんど影響を与えない
  • 歯が入るまでに数カ月を要する
ブリッジ
  • 保険を使うことができる
  • 抜けている本数が多いとできない場合がある
  • 健康な歯を大幅に削ったり、支える歯に大きな負担がかかる
  • 清掃がしにくい
  • 入れ歯に比べれば違和感は少ない
  • 短期間で入れることができる

歯を失った場合は上のそれぞれの特徴を踏まえた上で、もっとも自分に合ったものを選んでいくことになります。例えば、次のような感じです。

  • なるべく安くすませたい人 → 入れ歯またはブリッジ
  • 噛み心地、違和感の少なさを重視する人 → インプラントまたはブリッジ
  • 要介護の人など自分でお手入れが難しい人 → 入れ歯
  • なるべく歯を削りたくない人 → インプラントまたは入れ歯
  • 外科処置を受けられない、または抵抗のある人 → 入れ歯またはブリッジ
  • なるべく早く歯を入れたい人 → 入れ歯またはブリッジ
  • 残っている歯をなるべく傷めたくない → インプラント

一般的には上のような選び方になりますが、もちろん個々人のケースで合う合わないは変わってきます。またブリッジや入れ歯に関しては、保険のものか自費のものかによってもずいぶんと差がありますので、実際に歯を入れる場合にはかかりつけの歯医者さんとよく相談することをオススメします。

入れ歯が合う合わないって、どうすれば防げる?

入れ歯は合えば快適に使えますが、合わないと使えたものではありません。入れ歯を入れるなら当然合った入れ歯を入れたいものです。そもそも入れ歯が合わなくなってしまう原因にはどのようなものがあるのか、どうすれば合うようになるのか解決法を見ていきましょう。

入れ歯が合わなくなる原因と解決法

慣れていないだけ

入れ歯を入れて間もない頃は誰でも違和感を強く持ったり、しゃべりにくい、食べにくい、吐き気がするというように不快症状を感じやすいものです。痛みがない限り、このような問題は大抵、慣れで解決できることが多いため、慣れるまで少し様子を見てみましょう。

入れ歯の調整不足

入れ歯が内面で強く当たっているところがある、噛み合わせが高くて痛い、縁が食い込んで痛いというような場合、入れ歯の調整が必要です。粘膜に傷ができる前に早めに歯医者さんで調整してもらいましょう。

使っていくうちに合わなくなってきた

ずっと調子が良かったけれど合わなくなってきたという場合、金具が緩んできたり、歯茎が痩せてきて入れ歯がゆるくなってきたということが考えられます。この場合も歯医者さんでの調整が必要です。

入れ歯にも種類がある?

保険の入れ歯は最低限の機能を果たす目的で作られるため、審美性や快適性はあまり追及されていませんが、自費の入れ歯には保険の入れ歯の弱点を補う様々な種類のものがあります。代表的なものは次のようなものです。

金属床義歯
入れ歯のプラスチックの部分が金属でできており、頑丈だけれども薄くて違和感の少ない入れ歯です。金属なので熱を通しやすく、食べ物の温度が分かりやすいのも人気の理由です。
マグネット義歯
残っている歯と、入れ歯に磁石を埋め込んで、磁石の力で入れ歯を安定させます。外れにくさが魅力です。

入れ歯に関して気をつけること

入れ歯は他の治療法と違い、取り外しができるのがメリットでありデメリットでもあります。入れ歯をきちんと入れていれば噛み合わせが崩れたりする心配はありませんが、ずっと外したままでいると、歯が動いて入れ歯が入らなくなることもあるので、注意が必要です。調子が悪い場合にはずっと外しておかず、早めに歯医者さんで調整してもらうようにしましょう。